なんの違和感もなく電話に出た。




「はい。」


「もしもし、篠原麻衣さんですか?」


「……はい、そうですけど……。」


「こちら、県立中央病院です。先程、ご両親がこちらに運ばれてきました。すぐにこちらに……」







なにがなんだか分からなかった。






……ビョウインニハコバレタ。






何言ってるの?


朝、いってらっしゃいって笑顔で送り出してくれたよ?






気付けばその場を飛び出していた。


後ろで蓮が何か言ってるけど、ごめん、なんも聞こえないや。


頭に浮かぶのは、笑顔で手を振るお父さんとお母さん。


ただそれだけだった。