そっと唇を離した蓮は、そのまま力強い腕で私を抱きしめた。




「良かった……。」




弱々しい小さな声で呟く。


耳にかかる蓮の息がくすぐったい。




「……無事で、本当に良かった。」




……蓮。


きっと、私のことをこんなに思ってくれるのは彼だけだろう。




「好きだ、麻衣。」




胸がじわっと熱くなる。


ずっと聞きたかった言葉。


涙が出るほど嬉しいのに、心にあるモヤモヤをどうすればいいのか分からない。




「……でも、さっきの人も言ってたみたいに借金があるの。私がちゃんと返さなきゃいけない。だから……。」




そこまで言いかけると、私は俯いた。


今から口に出そうとしている言葉が深く胸に突き刺さる。


でも、蓮を巻き込むわけにはいかないから。