「ぐっ……はっ!」




倒れ込んだ蓮のお腹を、中原さんは容赦なく蹴りつける。




……やめて。お願いだから蓮を傷つけないで!!




「なんにもできないガキのくせに、俺をなめんな!こっちは貸しを返してもらってんだよ!」




私は、そう叫んだ中原さんの腕にしがみついた。




「やめて!!蓮を傷つけないで!!」




そんな私の髪を鬱陶しそうに掴み、中原さんはニヤリと怪しい笑みを浮かべた。




「うるせぇなー黙れよ。俺の言う通りにするんだろ?お前に残された道はこれしかない。ここで死ぬ気で働いて一千万稼ぐ。そうだろう?」


「……分かったから。もう、彼には二度と会わないから!!だから許し……」





そう叫びかけたときだった。


突然前からひんやりとした風が肌を撫でた。


それと同時に、目の前の中原さんが顔をおさえてもがきだした。




「……うぁ……うぅぅっ!」


「……な、に?」


「逃げるぞ!!」




すると、蓮は私の腕を掴んで走り出した。


そして、お腹の傷をおさえながら夜の路地裏へ飛び出した。