小さな小さなハートマーク。


それは麻衣の椅子に重なるように描かれていた。




俺は何を思ったか分からない。


でも突き動かされるようにその椅子へ向かっていた。


椅子のところへ来ると、そっとそれを手に取った。


前後左右にそれをくるくると回してみる。


そしてそれをひっくり返したとき、俺は目を見開いた。




「……麻衣。」




口からあいつの名前が零れたのと同時に、目の奥が熱くなった。


さっきまで鉛のように重かった体が嘘のように軽い。


俺 はそのまま美術室を飛び出した。