色鮮やかなキャンバスの中に見つけた、ある違和感。




それは椅子だった。


キャンバスの中で、俺の向こう側の窓の前に置かれている。




それはいつも、麻衣が使っていた椅子だった。


だって、あいつが描いたへのへのもへじの落書きが、ちゃんとそこに描かれているから。




ふと現実世界に視線を戻すと、確かにそこにもその椅子はあった。




いつも必ず隣にあったあの椅子。


なのになんであんなに離れた場所に……。


まるで今の俺達みたいだ。




キャンバスの椅子に指を添えたときだった。




「……これ、なんだ……?」