その時ふと、あるものが目に入った。
麻衣のロッカーだった。
俺はそこに、吸い寄せられるように歩いて行った。
ロッカーの下に立て掛けられた、一枚のキャンバス。
それを、そっと手に取った。
思い切って裏返すと、そこに現れた世界に、思わず声が漏れそうになった。
それは、オレンジ色の夕日のを浴びながら、キャンバスに筆を走らせている俺の姿だった。
淡い色調で彩られたそれは、麻衣の全てが表れているように思えた。
麻衣らしい温かい絵に、再び冷たいものが頬を伝った。
「……なん、だよ……。」
どうしてこんなの残すんだよ……。
どうやってもお前のこと思い出しちまうじゃねーか。
そんなのまるで……。
「……あれ?なんだこれ……。」