それからどうしたのか分からない。 気が付けば俺は、美術室の前にいた。 ……結構重傷だな……俺。 古びたドアを開くと、よく馴染んだ絵の具の匂いが鼻をくすぐった。 ふらふらと中に入ると、そこは麻衣との思い出で溢れていた。 一緒にグラウンドを見下ろした窓。 落書きをして怒られた黒板。 毎日隣で笑い合った机。 気が付けばまた、涙が頬を伝っていた。 あいつがいない明日なんて考えられなかった。