俺は動けなかった。


遠ざかっていく後ろ姿を、追いかけることができなかった。


いつも隣にいたあいつはもういない。





なんで、どうしてこんなことに……。


ご両親のことで何かあったんだろ?


何があったんだよ……!!





追いかけてちゃんと理由を聞きたかった。


でも体は氷のように凍りつき、ピクリとも動かない。


ヘタレな自分に嫌気がさす。




「……くそっ……。」




あいつの最後の言葉が頭から離れなかった。




“あんたなんか……大嫌い。”




心に突き刺さったナイフが音を立てて軋み、胸が張り裂けそうだった。