でも……その前に一つだけ……やりたいことがある。






「その代わり、今晩だけは私の好きにさせて。絶対に逃げたりしないから。」






お願い……


最後にこれだけは……






一瞬静まり返った車内に、中原さんの静かな声が響いた。




「分かった。その代わり、明日がタイムリミットだからな。」


「……わかった。」




そして、手の拘束をとられた私は、車から飛び出し、夜の闇に向かって走り出した。