夕陽の光が差し込む教室。
そのオレンジに照らされた、彼の真剣な目。
焦げ茶色の瞳に淡い光を宿し、キャンバスに筆を走らせる彼を見るのが好きだった。
絵の具がついた頬も、筆を握る長くて綺麗な指も、全てを射抜くような力強い瞳も。
机に頬杖をついてそれを眺めている私を、筆を走らせながらちらっと見たあなたは、決まって口の端を上げる。
「何見てんだよ。」
いたずらっ子みたいなその表情は、彼の照れ隠し。
そんな彼の横顔を見つめながら、「別に?」とか言ってみる。
なんだそれって笑った彼が愛しくて、思わず顔が緩んだ。
何気ない時間。
いつもと変わらない放課後。
ずっと彼の横顔を見ていたかった。
でも神様は残酷で、私から幸せな日々を取り上げた。
ほんとは伝えたかった。
あなたへの本当の気持ち。
『好きだよ。』