-悪魔が紡ぐ恋の唄-



希蒼は軽く礼を言って、
歩き出した。


そして、携帯を取り出して
メールを確認する。


詳細はメールで、
と言われたからだ。


『手続き完了

ターゲット:鷲宮雛智
期限:一年

住所:鷲宮荘102
学校:泉中学校 2年3組

人間界での名は、
水島希蒼とする』


…………詳細って…

これだけかよ!!!


ていうか住所って、
そんな名前だけ言われたって
わかんねぇし!!


希蒼はため息をついた。


「ねぇ──」


「ッうわぁっ!!!!!」


いきなり後ろから
声をかけられて、
思わず叫んでしまった。


見ると、さっきの
人間だ。


なんだかやけに
ニコニコしている。


「家、こっちなの??」


……しょうがないから
こいつに聞くか。


「いえ、今日引っ越して
来たんですが……
道がわからなくて。
鷲宮荘ってわかります??」