春菜の反応はないが橘は話を続けた

｢ずっと一人だとそう思ってたんだよ。君のように、僕には居場所がないって。先生にはね、両親とも小さいときからいないんだ。小学生の時に交通事故にあって…天国に、いった。それからおばあちゃんにずっと育てられて。おばあちゃんはすごい優しかったけど、やっぱりお父さんもお母さんもいないと寂しかったなぁ。寂しさからか、おばあちゃんに八つ当たりもしまくった。ある時、そんな先生をおばあちゃんいきなり殴ってきてね。俺もむかついたから、おばあちゃんを殴ろうとした。そしたらさぁ、おばあちゃん泣いてるんだよ。そんなおばあちゃんの顔見たら、俺何やってんだろうって。一人だとずっと思ってたけど。いつもおばあちゃんは見てくれてたんだなぁって。心配してくれてたんだなぁって。そしたらなんかさぁ、本当自分が情けなくてさぁ。でもそんな俺に、おばあちゃんはこう言ってくれたんだ｣

春菜は橘の話をだまって聞いていた