「じゃ、行ってくるわ」
そう言って、嵐のように彼女は過ぎ去っていった。
「驚いたでしょ?あれが結衣のお母さん」
「あの人ほど強烈な人見たことない」
「俺は理事長よりもシオンさんの方が強ぇと思うわ」
「あの人の美は俺でも出せないわ」
「…うるさくてすまなかったな」
あの人が南雲くんのお母さん。
南雲 紫苑(しおん)
つまりあの人が噂の…。
「あ、母さんの忘れ物。ちょっと届けてくるわ」
「おっけー」
南雲くんはテーブルの上にあったポーチを手に取り、エーベーターに乗り込む。
「どう?結衣の家」
「どうって言われても…。なんか、みんなすごく馴染んでるね…」
「そうかな?」



