「ほう、東雲の坊やは大学院か」
お兄ちゃんの自己紹介に口を出したのは、ずっと静かだった理事長だ。
「大学院行かずにそのまま社長の座に着くと噂されとったであろう」
「まあ、外国の大学にも興味がありましたが、世界中飛び回るので拠点を決めておきたかったのもありますし。何より俺が社長になると、親父が何も働かなくなりますから」
「東雲の殿方は、隠居する予定だったのか」
「はい。親父は自分の子供に何でも丸投げですから」
「ほほ、殿方とは気が合いそうじゃ」
父さんと理事長は、根本的に一緒だよ…。
どっちも仕事したくない人間だし。
「そんな父さんは?」
「大事な会議があるからまだあっちにいて、叔父さんが引き止めてる」
何だろう…嫌がる父さんが眼に浮かぶのは…。



