「七瀬さん、もうここはいいから早く帰りなよ」

「茅野くん…」

「どうせあいつが待ってるんだろ」

「うん…」




今年も副会長の茅野くんは、本当に頼りになる。

そしてあたしが仕事で忙しいのを知ってるからこそ、こうやって早く生徒会のを仕事を終わらせてくれる。



そして何事もなかったかのように未だに、七瀬さんと呼んでくれる。



理由を問うと、


『学校ではまだ七瀬のままでいるのであれば、それに従うまでだ』


とのこと。



東雲を名乗るのに抵抗があるあたしがまだ七瀬を名乗っていることを、一番気にかけてくれている。



それになにより、この学校中の生徒はまだあたしを、あの東雲の令嬢とは知らないから。




知ったら知ったで、騒ぎになるだろうし。