今回のこの決定に関して、当事者二人は反論するどころか口出しすらできずに終わっていった。
「南雲の子息と東雲の令嬢となれば、個人同士ではなく、家の問題じゃからの」
と、理事長は言っていたけれど。
彼らはどんなことになったとしても、二人が認めてもらえればそれでよかったんだと思う。
「孫が南雲を捨てるとか言いよったのは驚いたがの」
「それは同感ですが、まあ彼の失言でしょう」
南雲家唯一の男子であり跡取りでもある結衣のあの発言は、彼自身も後悔してるはず。
七瀬さんは自分一人で何十万人の生活を背負っているからこそ、ずっと悩んでいた。
今回のことで、南雲を継ぐあいつの背中には、何十万人もの人の生活を背負ってるという自覚が芽生えたはず。



