「それに、南雲くんは、あの紫苑さんの息子てでしょ。理事長の孫でしょ」
「…………」
「でも、南雲くんはどちらかというと父親似。あんな優しいひとが、人生諦めたようには見えないから」
「……屁理屈だろそれ」
「いいのよ、それでも」
南雲くんが、南雲くんであるなら。
どんな人間であれ、あたしが見てきた南雲くんが、南雲くんだと思うから。
「さっき父さんがいってただろ、世界進出」
「うん」
「ガキの時、卒業文集で書いたんだ。南雲を世界の南雲に変えたいって」
「うん」
「俺はそのためになら何でもする。家族会の偉そうな人たちも南雲の為にとおもってる。俺も南雲に生まれた限りは、南雲のために何かしたい」
「うん」
「俺が、南雲を大きくしてみせる。そして誰にも何も言われないような人物になってみせる」
「うん」



