日本で五本の指に入る南雲グループだ。

由緒正しき家柄には由緒正しき家柄の子を、なんて、そんなの当たり前のように考えられる。


ただ南雲くんの父親は、由緒正しき家柄どころか、下手すれば害にもなりえる反社会的な正しき立場の娘と結婚した。


この厳格な家族会がその条件を出したとしても、おかしくはない。



「そこでさっきの確認。元々の両家の因縁もありますが、結衣と凛ちゃんが結婚したとしても、ホテル業界には進出するつもりもない南雲には利益がないんですよ」

「…………」

「そこで提案です」



南雲くんの父親と目があった。

彼はニコッと笑っていた。



「東雲には、南雲の世界進出の手助けをしてほしい」




一気に、動揺が走る。