「どうして、ここまで」 少し考えたように俯いた南雲くんのお父さんが、顔を上げて言った。 そんなの…、 「あたしが失いたくないって、初めて思ったからです」 ガタンっと、音が鳴る。 「っ……」 「ーー父さん、こいつだけは譲れねぇ」 「なぐっ…!?」 急に立ち上がった南雲くんに腕を引っ張られ、出口の方へ進む。 唖然とした、みんなの顔。 唯一、坂口さんだけが笑っていた。