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もし神様が願いを叶えてくれるのであるならば、


地位も、名声も、権力も、何もいらない。



ただ、南雲くんのそばにいせてください。






車の中では、なぜか落ち着いていた。



「チッ、おせぇなぁ」

「学校から都内だと、時間かかるし、今の時間が一番混むだろ」

「仕方ない」

「凛ちゃん、大丈夫?」

「…………」


彼らの声が聞こえる。


けれど、何も聞こえない。



目を閉じて、思い出す。

このドキドキは、初めて仕事で交渉をした時とおんなじ。


大丈夫、大丈夫。