「負け惜しみの言葉もないのね」
「……負け惜しみではないですが、あなたがそういう人間だということはわかっていました」
「なによ」
「あなたの言う通り、あたしは生まれた境遇を恨むことしかできませんね」
「わかってるならそれでいいわ」
「でもあなたこそ、生まれた環境を悔やむ日が来るかもしれませんよ」
「ふん、まあいい。明日あなたの顔を見るのが楽しみだわぁ〜」
彼女は笑う。
人を見下し、権力者のごとく。
彼女の足音が遠ざかっていく。
あたしはただその場に立ったまま。
権力、か…。
「あたしの大嫌いな言葉だ…」
涙すら出ない今のあたしの顔は、どんな顔なんだろう。
悲しい顔?
虚しい顔?
失望した顔?
彼女が欲しいのは、地位や名声、そして誰にも指図されない権力。



