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「寒っ…」
さすがに冬ともなれば日中もかなり寒いからこそ、朝は億劫になる。
都心にあるロイヤル・イーストホテルとは違い、紫苑学院は都心から離れたところにある。
いつもは電車やバスで登校しているのだけど、残念なことに今日は朝から慌ただしくて、時間に間に合わなかった。
いつもは他の生徒にバレるのを避けるため使っていないけど、今日ばかりは家の車を使わせてもらうことに。
普通の車なら毎日でも使いたいのに、なぜか毎回用意されるのは一目で高級車とわかるものばかり。
以前坂口さんに聞いたことがあるけど、なんでもあたしを守るためだとかなんとか。
曲がりなり……ではないけれど、俗に言う令嬢という部類の人間だから、だというね。
“ちゃんと護衛もつけてますから!”
と言われた時は、ひやっとしたけどね。



