「ふん、よく言うようになったわい」


先に目をそらした理事長は踵を返す。



「理事長、」

「なんじゃ」

「あたしは、あの家を、東雲を見放すことはできません。あたしにはあたしの罪があります」

「…………」

「誰に何を言われようとも、あの過ちは消えることはありませんから」




あたしは東雲に囚われているのではない。


あたしはただ、東雲をもう二度と裏切れないだけだ。



それが、あの時迷惑をかけた人達への、罪滅ぼしでもあるから。



「好きにすると良い」



理事長はただそれだけを言って、中へと戻っていく。




「………ははっ」



いまさら、どう足搔けと。