相変わらず理事長は、神出鬼没すぎて…。



「お主、そんなに彼奴とは一緒にならぬつもりか」

「っ……」

「東雲に囚われすぎでじゃのぉ」

「理事長、お口を閉じてください」

「ほぉ、ワシに意見すると?」

「お言葉をそのまま返します」



無言で理事長と見つめ合う。




誰にも負けない、気高いオーラを身にまとう理事長。

それは、彼女が、裏では有名なヤクザーー馬酔木組の組長夫人であるからだろう。


だからこそ、あたしと理事長は、実はかなり曖昧な位置関係にいる。


この学校にいる限り、理事長が優位に立つ。

でもこの学校の外では、あたしが優位に立つ。



理事長のバックに南雲がつこうとも、理事長があの家にいる限り、社会的にはあたしよりも優位に立つことはない。