理事長に名前を呼ばれ、南雲くんは理事長を睨んでいる人物の元に歩み寄る。



南雲くんから出向くなんて珍しい。



「理事長、いいんですか?」

「よいよい。可愛い孫じゃが、我が組の孫でもあるのじゃぞ?」

「で、でも、ナイフ持ってますよ!」

「そんなの想定の範囲内じゃ!」



豪快に笑う理事長。

そう言う問題じゃ…。






「金の恨み、はらしてやるっ!!!」


……金?



男はそう言って、南雲くんにナイフを向けて駆け寄る。



だけど南雲くんは、平然として歩いていく。




「ーーおりゃあああ!!」




ナイフが、南雲くんに刺さることはなかった。



男は、地面に押さえつけられている。


南雲くんは立ち止まって、動いていない。




「結衣に、手出しはさせない」