かといって、バレるわけにはいかない。


バレたからといって、何かあるわけでもない。


あたしが紫苑を辞めれば、自由を諦めればいいだけ。



せめて、南雲くんにだけは、バレては…ーー





「ーーお主ら、何をやっておるんじゃ」



ふと、視線をあげると、3つの廊下のうちの一つから、理事長が現れる。




理事長があたし達の前を通る瞬間、一瞬だけど視線が合わさった。



「っ……」



理事長っ…!!




理事長が彼らに声をかけると、5人は来た方向へと帰っていった。



「凛様、」

「…あとで理事長にはお礼を差し上げましょう」



理事長はあたしの存在に気づいていた、それを確認した上で彼らを引き離してくれたのだ。



敵なのか味方なのかわからない、理事長はそういう人間だ。