「なにも、背負っちゃいないわよ…」 ウソ、本当はたくさんのものを背負ってる。 あたし一人で、何万人の人たちを背負ってる。 何万人、何十万人の人たちの、人生があたしにかかっている。 「そう?」 南雲くんは何事もなかったかのように、あたしから離れ扉に向かう。 「早く行かないと、仕事が残っているんだろう?」 「わ、わかってるわよ!」 急いで南雲くんを追いかける。