「だからさ、こうやって俺たちに反論してきたのは、君が初めてだったんだよ」 「…………」 「ごめん、こういうこと言われても困るよな」 「えっと…」 「早く帰ろう、車を待たせてあるから」 校舎を出て、車まで向かう南雲くんの後ろ姿は なぜだかとても儚げだった。 胸がぎゅっとする感じ。 きっと、彼には誰にも言えない、抱えた闇があるんだろう。 この南雲くんの後ろ姿だけは、どうしても忘れられないでいた。