中身がこぼれないように、ゆっくりとカウンターへ戻った。




……って言うのは口実。


本当は彼の前でどんな顔をすればいいのか分からないから、すぐに戻れなかった。




「……はい、どうぞ。」


「……ん、ありがと。」




綺麗で繊細な手でそっとカップを持つ彼。


その首もとには、今日も翼のネックレスが揺れていた。


彼の全てに、やっぱり私の胸は高鳴るんだ。





「こーこーなーちゃん!」




横からかけられた大きな声に振り向くと、常連さんの慎ちゃんが手をくいっくいってして私を呼んでいた。




「なにー?」




すぐ前に立つと、慎ちゃんは少し腰を浮かして私の耳に口を近づけた。




「……さっきからガン見してる。若干にやけてるし、そんなんだとばれるよ?笑」


「……え、うそ////」


「ははは!でも素直でいいこと!」




口を大きくあけて爆笑する慎ちゃん。


もう////


絶対私のリアクション見てからかってる!!