外は土砂降りの雨だった。
ドアの前に置かれている百合の花は、頭に乗った重たい滴のせいでふらふらと揺れていた。
はぁーっと盛大な溜め息をついた私の顔を、秋ちゃんが心配そうに覗き込んだ。
秋ちゃんには和真くんのことを話していた。
私がもやもやしているのを知っているから、こうやって気にかけてくれてる。
秋ちゃんの何気ない優しさ。
「大丈夫?そんなに心配しなくてもきっと来てくれるよ。」
「……うん。」
でも秋ちゃん……違うの。
来てくれるかどうかが心配なんじゃない。
むしろ今日は来てくれなくていい。
だってもしあの人が彼だったら、私はどうすればいいの?
すっごくいい友達なの。
もし私がこのまま変な気持ちを抱いてしまったら、私のせいでこの関係を壊してしまうような気がして……。
「……あ。」
秋ちゃんが呟いたのと同時にドアが開いた。


