ギプスもとれて、夏休みも残りわずかになった。


あれ以来兄には一度も連絡していない。





静かな夜だった。


ピンポーンとチャイムが鳴って、階下から何やら話し声が聞こえてきた。


部屋にいた私は大して気にもせず、洗濯物をたたんでいた。



「よみちゃん、よみちゃんちょっと来てくれない?」


祖母の声が階段の方から聞こえる。


たたみかけのシャツを置いて1階へ降りた。



「ん、なに?」

祖母は階段のすぐそばにいた。

「お父さんが来てるの。」

「………。」




兄と同じく父と最後に会ったのも随分前だ。



正直言って会ったところで話すこともない。


成績についてなら文句はないはずだし、特に学校で問題を起こした覚えもない。



祖母も突然の父の訪問はまるで理由がわからないらしく、少し困った顔を向けてきた。



「玄関にいる?」

「うん…。」

「ありがとう。出てくるよ。」




祖母を困らせるのが嫌で、できるだけ明るく言った。