「…おはよう」

「はよ。よみ一緒に食うか?うざいんおるけど。とりあえずこっちおいで。」



腕を引かれて窓際に溜まっていた男子の中に連れて行かれた。


殆ど喋ったことがない男子ばかり3人が、座ってピザを食べていた。



大地の横に座ると、全員会話をやめてこっちを見てきた。


大地以外の誰かとこの教室で目が合うのはかなり久しぶりな気がする。



沈黙を破ったのは背の高い結城だった。多分野球部だったと思う。

「ピザ、食う?」

ん、と紙皿を渡されて、迷った後に一切れもらった。


とりあえず食べようとして口元に何かが当たる。


マスクをしていたことをすっかり忘れていた。



ぶ、と結城が吹き出して、全員に爆笑された。


「藤沢って天然なんだ。なんかイメージと違うわ。」


笑われて、仕方なくソースのついたマスクを外すと更に笑われた。


「ぶはっ、お前なにそれ?」

「ちょい柊。こいつ面白すぎだろ。」


大地につっこんでいるのは山本。その横で笑っているのは佐々木。みんな大地の友だちだけど、まともに喋るのは今日が初めてだ。




男子は女子と違ってこんな怪我で大げさに心配したりしないらしい。

怪我がどうこうより、ギプスをした顔が面白いと感じるようだった。


本気で笑われたあと、大地を見ると一緒になって笑っている。なんだか気分が楽になった。


なんでわざわざ隠そうとしたのかバカらしく思えてくる。



結城は強面だけど喋ると面白かったし、他の二人も見た目はチャラいけどやっぱり面白かった。


久しぶりに教室で誰かと喋った。


なんだか新鮮で、ちょっとだけ今日登校してよかったかもなんて思ったりした。