それからしばらく騒いだ後で、落ちついた川野さんと2人一緒に保健室へ連れて行かれた。



事情を聞かれて川野さんが全部説明してくれた。



「あたしを殴りゃいいのによ、なんでこの子殴んだよ。カスだなあいつ。」


川野さんは私にごめんねと謝ってきた。


「もう呼び出しなんて慣れてんだよ。1年の時から3年になってもなんかあるたびにお前だろお前だろってな。違うっつってもどうせ誰も信じない。だからやってようがやってなかろうが、やったって言っとけばいいって思ってたけど。
あんたみたいな綺麗な子もいるんだね。」


笑ってそう言った川野さんは、とんでもなく優しい顔をしていた。






結局このことは内密にすると話が決まって、川野さんは保健室を出て行った。


彼女が帰ったあとの沈黙は長かった。


いつもマシンガンみたいに喋りまくる青木先生が、今日に限って何も言わない。



私もなんだか疲れていた。

そろそろ帰ろう。

立ち上がったところで、腕を引かれた。

すっぽりと抱きしめられて、ビクリと肩が揺れた。


「よみ。ごめんな。ほんと、ごめんな。」


「なんで先生が謝るの。悪いのは…悪いのはあたしかな。犯人かな。わかんない。でも先生は悪くない。」


「…殴られたんだぞ。俺がもうちょい早く行けてたら……」


ゆっくりと、背中に回った腕をほどいた。


「殴られたのはなんともない。ただ、やってないのにやったことにする山口先生が、許せなかった。」


青木先生が、悲しそうな顔を向けてくる。


「大丈夫。誰にも言わないし問題にする気もないよ。約束するから。………先生、来てくれてありがとう。」



笑ってみせたけど、先生は黙ったままだった。