昼休み、いつもの場所に柊は来てくれた。


私の髪を撫でながら、ツヤツヤやなぁなんて呑気なことを言う。




「ねぇ柊。あたし、シカトされてる…みたい。」


思い切って言ってみた。


「せやなぁ。」

返ってきた返事が本当にどうでもよさそうな声で、なんだか拍子抜けしてしまう。



「あたし何かしたのかな。何か聞いてる?」

「うーん?何もしとらんやろ。噂なんか気にすんな。どっかのアホが流しとんやろうし。」


「噂?何か知ってんの?教えてよ。」


「んー?…てかよみ、お前いつまで俺のこと柊って呼ぶん。」



確かに恥ずかしくて、未だに下の名前で呼んだことはない。

けど、今じゃなくても……


「今言う!?そんなことよりなんか知って…」

「今。今がえぇ。大地って呼んで。」


途中で遮られ、頬を大きな手が包みこんだ。


「や、恥ずかし…ほんとに恥ずかしいからもうちょっと…」

「よみ?お願い」


チュッと唇にキスをして囁かれた。


ズルい。こいつはズルい。



「だ………だ…ち…」

「ん?聞こえへん。もっかい」

「……っ…だいち…」

呼んだ後で、顔から火が出そうなぐらい恥ずかしくてたまらなくなった。


ぎゅっと目をつむると、柊…大地が笑った。


「やっと呼んでくれた。よみは可愛いなあ。」



こんな風にドキドキさせられて、結局肝心なことは聞けなかった。



ズルい。本当に、ズルくて雑で、やっぱりズルい。