「さて、何する?」

「…は?」

「いやさ、お前しかいないんだし、俺保健の先生だから保健の授業しかできねーし?でも1人だけ進んでもしゃあねーだろ?」


「……だったらあたし登校しなくてよかったじゃないですか。」


「ダメダメ!修学旅行といえど出席になんだよ。お前は行かなかったんだから学校来て出席取らなきゃダメなの。」


出席とったってやることないなら意味ないだろうに…



「そうだ。ちょっと手伝って欲しいことあんだよ。保健室行こう。クーラーも効いてるし。」







結局、保健室で資料のホッチキス留めをやらされた。500枚近くある書類を分けて束ねて留めながら、今頃さやかたちは海に入っているだろうかと考えた。



やっと終わった頃には既に2時間が過ぎていて、さすがに少し疲れた。


「ありがとなー。俺1人だったらマジで倍はかかってた。」


紅茶を淹れながら、うーんと伸びをした。



「てか藤沢ちゃん、彼氏いねーの?」

「はっ?…あっつ!」

唐突な質問に、カップを取り落としかけた。


「あーあーあー。動揺しちゃってる?もしやいんの?誰?」


本当にうざ苦しい。


「いない。てか先生こそ村木さんと付き合ってるって本当?」

生徒の間で密かに噂になっている事務の可愛い村木さん。


「村木さん?誰?」


「は?事務にいるでしょ。」


「あーそっちね!てっきり生徒の誰かかと思ったわ。」