sideよみ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


目が覚めた時、まだ窓の外は暗かった。





昨日のことを思い出し、またパニクりそうになる。




そういえば玲子さんはもう帰ったのだろうか。リビングからは何の音も聞こえてこない。




そーっと扉を開けてみた。


……誰もいない。




冷蔵庫を開けて、ミネラルウォーターをコップに注いだ。




あれから何時間寝ていたんだろう。




あの状況で眠れたこと自体が凄いけど。
私は案外神経が図太いのかもしれない。




何気無く部屋を見渡したその時。



私は飛び上がりそうになった。



ソファの上に誰かいる……!



いや、誰かなんて分かり切っている。

この部屋の主が、ソファに突っ伏すように眠っていた。




慌てて部屋へ逃げ戻る。

そっと扉を閉めた後、

「よみ…?」

私を呼ぶ声が聞こえた。…ような気がしたけれど聞こえなかったことにしたい。



急いで布団にもぐりこみ、カタツムリのように丸まった。




直後、ガチャリと扉が開く音がして、布団の上に手が添えられた。


「よみ?……寝てるのか?」

少しだけ布団をめくられて、瞼の向こうがほんの少し明るくなった。


寝たふりを決め込む私に気づいているのかいないのか、ゆっくりと頭を撫でられた。



「ごめんな。怖かったな。……ごめんな。」


そんな声聞きたくない。

何も言わないで。

もう終わりだと言われているようで辛かった。




溜まった涙を流さないよう踏ん張る。




もう終わりだろうということは、頭では分かっている。私はもう腐ってしまったんだから。だけどまだ、何も聞きたくない。


きっと次に喋る時、太陽さんは別れ話を切り出すだろう。でもまだ受け入れる覚悟が出来ていない。きっと私は首を横に振ってしまう。




太陽さんが好きだ。


こんな状況でも、すがりついてしまいたくなるほどに。




はっきりと自覚した瞬間、堪えていた涙が頬へ流れて行った。





優しい指がそれをぬぐう。






私が起きていることに気づいたはずで。だけどそれ以上、何も言わなかった。