こうやって、3年間がだらだらと終わるんだろうと思う。



特に嫌なこともなく、かといって特別楽しいこともなく、席替えなんかを細やかな楽しみにして、疲れたらたまに授業をサボって。




それでよかった。


このまま誰にも干渉されずに終わるなら、随分居心地がいい。









6月も半ばになると、クラス中が修学旅行の話題でもちきりになった。




行き先は沖縄で、毎日グループ分けだの旅先での予定だのをみんなで話し合っていた。



「おい藤沢?」

「…ん?」


これからLHRで修学旅行の話し合いだというからそっと教室を抜け出した。

そこを柊が見てしまったらしい。



「なんかお前いつも話し合いん時おらんくね?どしたん?」


静かな渡り廊下は、やけに声が響く。


「んー?興味ないだけ。」

「興味ないってお前、班とか勝手に決まって文句ないん?」

「…………。」


修学旅行に私は参加しない。3万もかかる上、4日も家事を放置することを祖父は許してくれなかった。


柊はそんなこと知らないんだろう。


「べつに?嫌いな人とかいないし。早く戻んなよ。あんたこそ勝手に決められちゃっていーの?」


ニヤッと笑ってみたものの、柊は顔をゆがめたまま何も言わなかった。



修学旅行か。

沖縄なんて行ったことがない。


海は綺麗なのかな。やっぱ珊瑚とか見れんのかな。

なんか虚しくなって、考えるのをやめた。