1時間、私はぼーっと机に座って校庭を眺めていた。



保護者用に白線が引かれた砂の上を、生徒が通り過ぎては校舎に吸い込まれていく。



そのうち車が入ってきて、見る間に校庭は駐車場へと変わった。




「在校生は椅子持って体育館に行ってください!」

気づいたらもうみんな登校していて、学級委員が叫んでいる。私も立ち上がった。




卒業式は、淡々としていた。


渚さんたち以外にも気合いを入れた制服姿の生徒は何人かいた。
卒業式用の正装なんだろうか。




式が始まる頃から終わるまで、ずっとバイクの音が聞こえていた。



恐らく学校の周りを太陽さんたちが走っているのだろう。ブンブンと吹かすエンジン音が、来賓のつまらない話をかき消していた。





何人か先生が慌ただしく体育館を出入りしていたけれど、バイクの音は最後まで止まなかった。




「卒業生が退場します。」


私たちの脇を、3年生が通り過ぎて行く。その中に、勇太さんを見つけた。


いつもヘラヘラ笑った顔しか見たことのなかった勇太さんが、泣いていた。


勇太さんだけじゃない。渚さんも、目が真っ赤だった。


泣きはらした目をした2人と、目が合った。


「よみ!しっかりやれよ!」


拍手の中聞こえた勇太さんの声に、一気に感情が崩壊した。




2人は私にとって、かなり大きな存在になっていたらしい。


置いていかないで。


いつしかそんな言葉が口をついて出た。




2人の背中が見えなくなっても、涙は止まらなかった。




止まない拍手に隠れて、声を殺して泣いた。