笑ってさやかと別れた後、教室にはまだ大地たちがいた。


というより、私を含めもう3人しか教室に残っていなかった。




さすがにこの状況は嫌だったけれど、勇太さんとすれ違いになるのも困る。



気まずい空気の中、ベランダに出て待つことにした。


「ねぇちょっと!早く帰ってくんない?」


わざわざ会話が聞こえない場所に移動してやったのに、巨乳が喧嘩を売ってきた。


「あ?」

思わず低い声が出てしまう。


「わからない?あたしたちの空気。」

「…知らないし。」

笑ってしまった。



「空気読みなよ。あんたまだ柊くんのこと付け狙ってるの?」

「んなわけないでしょ。だいたいあんたが座ってた机あたしのだから。汚いパンツくっつけんのやめてもらえませんかね。」

「は?なにこの子!」

「てかウザいですから。いちいち話しかけてこないでください。人待ってるだけであんたらに興味なんかないんで。」


ポイポイと手を振ると、鼻息荒く教室に戻って行った。




暫くして話が終わったのか、大地がベランダに入ってきた。



「…部活あるんじゃないの。」

「……ん。これから行く。」


そう言った大地の鞄の中からは、ハート柄の包みが見えている。



「…早く行ってよお願いだから。」

「さっき先輩に何言われたん?」

「いちいち覚えてない」

「よみ……」

「あの先輩に言っといてよ。話しかけてくんなって。」

「…ごめんな、よみ。」

「……なにがごめんなの?」

「………。」

「嫉妬させてごめんてこと?だったら心配ないよ。」


「よみ、違う。あのな、俺は教室には来るなって言ったんやけど。放課後やと他の教室はちょっと気まずいとか言い出して。」

「なんでそんなあたしに気ぃ使ってんの?」


「だって、よみ……。」


「彼女と何してようが大地の勝手でしょ。」


「俺は…よみのことが好きやって、ちゃんと言ってるやん!」


「…好き?大地の好きって、一体なに?好きじゃなくてもキスできるのに、好きである必要があるの?」


「俺は…あんときは、どうしてもしてって言われ…」


「じゃあ、いいじゃんそれで。ほんとにあたしに構わないで。お互い、好きにしようよ。」



笑ってみせたら、大地がため息を吐いた。



「大地はいい人だよ。今は友だちとして、大地が好きだよ。」


俯いた大地はそれ以上何も言わなかった。