放課後になって、先輩はやってきた。


あたしを見るとなぜか得意顔で大地に近づいてくる。



「柊くん。今から時間ある?」

「あーごめん。部活ある。」

「ちょっとだけでいいから。ダメ?」

無駄にデカイ胸を大地の腕にすりつけている。


チラチラこっちを見てくるのがたまらなくウザい。



私は席を立つと、2人の会話が聞こえないところまで移動した。



今日は多分勇太さんも足止めを食らっているだろう。


暫く教室で待たなければいけないのに。さっさと大地たちが帰ってくれることを願うしかない。



「よみ……?」

かなり久しぶりに聞いた懐かしい声が聞こえた。

振り返るとさやかが私を見ている。


「……さや。」


笑ってみたら、さやかの目から涙が零れた。


「っちょ?どした?」


突然泣き出したさやかに狼狽えながら、顔を覗きこむ。


泣きながら、赤い小さな箱を差し出してきた。


「…ごめ、よみ……きょ、バレンタインで、その…友チョコ……よみに渡したくて!っ……よみ、ごめんなさ…っ」


謝りながら言われた言葉に胸が熱くなる。


「よみのことっ、ずっと大好きだったのに……あたし、変な噂に流されて……そんなのどうでもいいのにっ…ごめんよみっ!」


胸が苦しくて、思わずさやかの手を握っていた。


「ありがとうさや。ほんとにありがとう。」

「よみ、こんなあたし…許して……ごめん…」


「友チョコなんてなんにも用意してないあたしを許してよ、さや」


そう言って笑うと、さやかもやっと笑顔になった。



もう二度と話しかけてくれることなんてないと思っていた。



嬉しくて、苦しくて、やっぱりさやかは優しいと思った。