「黒澤君……」
わかんない。わかんないよ。
黒澤君にはなにがあったの?
なんでそんな目するの?
私、なにか言っちゃったの?
「黒澤君っ…ごめんねっ…」
涙がポロポロ出てきた。
「は?なんで泣いてっ…!」
そう言う黒澤君はもうあんな目はしてなくていつもの優しい黒澤君だった。
「ごめんね…なんか私言っちゃったんだよね?黒澤君が傷つくようなことっ…」
そうだ、あの目のなかには悲しみも入ってた。
「はっ? ちげーよ。マジごめん。
少しムカついただけなんだ。」
慌てながらもそう言う黒澤君。
「ムカついた…?」
「あぁ。俺は家族が嫌いなんだ。
だから仲良さそうなおまえにムカついた。」
嫌い…家族を…?
やっぱ昔なにかあったんだよね?
気になる、でも聞けない。
私、怖いんだ、黒澤君が離れて行くことが。

