バレンタインも終わり、今は春休み。


私と直哉君のデートの帰り道のこと。



「今日も楽しかったね。」



「あぁ、そうだな。」



そんな会話をしていると、



「……直哉…?」



と、綺麗な女の人が足を止めた。



「あ?」



直哉君はわけわからなさそうな顔をしてその女の人をみると、徐々に顔を曇らせていく。



「直哉なのね?お願いだから戻って来て!もうあんなことは言わないから……」



女の人のその言葉でわかってしまった。この人は直哉君のお母さんだ……。



「……花咲、行くぞ。」



「え、うん…」



直哉君が私のことを苗字で呼ぶときは辛かったり戸惑ってたりするとき。