それどころか、そんなわたしの首筋に、クンクンと匂いを嗅いでくるわけで……。
もう、ヤダ……汚いのに……。
泣きたくなる。
だけど、それだけじゃない。
紅さんと至近距離になると、薔薇の香りがより強く匂ってきた。
そうすると、頭がボーッとして、何も考えられなくなってしまう。
「……紅さん……」
ふにゃりと体の力が抜けていく……。
「君の匂いは……優しいね。雨の……甘い匂いだ」
雨の……匂い……?
紅さんの言葉に、何も考えられなくなった頭を無理やり起こそうとする。
だけど……やっぱり、薔薇の香りには勝てなくて、目は、トロンとしてしまう。
「くれなぃさん……」
声までねこなで声みたいなマヌケになっているし……。
「紗良ちゃんは、わたしを惑わすのが上手いね……」
「んっ……」
わたしの首筋にやわらかい感触が当たった瞬間、わたしの体がビクンと震えた。



