「ごめんなさい。
父が亡くなってから……お風呂入っていなくて……どれくらい経ったのかはわからないけれど、たぶん3日くらいは経っているハズなんです……」
最後の方は、もうあまりにも惨めすぎて消え入りそうな声になっていた。
ああ、もう、最悪。
消えてしまいたいくらい恥ずかしい。
それなのに、わたしの頭上から聞こえた声は、とても優しくて……。
あたたかだった。
「そうなの? そんなふうには見えないし、異臭もしないよ?
君の香りは、とても甘い……」
紅さんがそう言った瞬間だった。
「ひゃんっ!!」
わたしの口からヘンな声が出たのは、紅さんがわたしの首筋に鼻を寄せてきたからだ。
「ダメっ!! きたないからっ!!」
わたしは慌てて両手を紅さんの両肩に置いて引っぺがそうとしたのに、ダメ。
相手は男の人。
わたしの力じゃ、紅さんはビクともしない。



