きっと、紅さんは霊媒師さんのような存在だから、わたしみたいな人間をたくさん見てきたんだろう。
だから、わたしみたいに汚れているヤツを、こんなに優しく接してくれるんだ。
「涙と汗でびしょびしょだ」
紅さんがそう言ったのは、わたしがひとしきり泣いたあと。
「ご、ごめんなさい……」
泣きすぎて、紅さんのシャツを濡らしまくってしまった。
皺ひとつない綺麗な茶色いシャツは、胸のあたりがぐっしょり濡れている。
「いいよ、気にしなくても。
とはいえ、このままご飯というのも居心地が悪いね……」
「お風呂、入ろうか……」
思わぬ紅さんのひと言。
そこで恐ろしいことが発覚した。
恐ろしいことっていうのは……つまり……。
父が亡くなってから、わたしはお風呂に入っていなかったんだ……。
それって、それって、とっても大変だ。



