「……ごめんね」
紅さんの口調の方が苦しそうになっているのはなぜだろう。
あなたは苦しむ必要なんてない。
すべては、わたしというものが生きているせいだ。
わたしのために、心を痛めないで……。
悲しまないで……。
だからわたしは首を振って、謝らなくてもいいと紅さんに伝える。
こんな厄介な体質になっているわたしでも、紅さんは受け入れてくれているんだって思うと、また涙が溢れてくる。
「紗良ちゃん、平気なフリはしなくてもいい。
出逢ったばかりで信じられないとは思うが、わたしは君の環境を理解している。
少なくとも、わたしの前では平気なフリはしなくてもいい」
……優しい言葉。
……あたたかい腕。
わたしは恐る恐る手を伸ばし、紅さんの背中にしがみ付く。
そうしたら、わたしの背中にまわっている紅さんの腕も、さっきより強くなった。



