だからわたしは、また勢いよく頭を振って言い直す。
「いえ……えっと……。貴方の首を絞めたりとか、傷つけたとか、そういうことです」
「君はわたしのベッドでぐっすり眠っていたけれど?」
えっ? なにそれ、おかしい。
意識を失えば霊体に身体を乗っ取られるハズなのに?
「あの……本当に?」
「うん、本当」
えっと、じゃあ、ここから出て誰かを襲うとか……は考えられるよね。
意識を手放したわたしが霊体に操られなかったっていうことを信じることが出来ない。
「あ、あの。だったら、ここから外に出て誰かを襲ったりとか……」
男の人を襲っていないのなら、それも考えられる話、だよね。
そう思って尋ねると……。
「外も出てないよ。
玄関へ行くには階段を下りて、さっきまでわたしがいたリビングを抜けなければいけないからね。
それに、ここは山奥でね。人はあまり寄りつかないんだ。
君が誰かを襲う前に、ここがどこだか把握できないと思うから、君がもし、わたしの家を出ているなら、今ごろは迷路のような山の中で迷っているんじゃないかな?」



