だって、いつも霊体たちはわたしの耳に囁く。
わたしは醜くて、とても汚い存在だって……。
だから苦しくて、悲しくて、辛くなる。
それなのに今は違うなんて……。
そう言えば、ここに来てから、霊体の囁く声が聞こえてこない?
わたしは異変に気がついた。
『彼ら』の存在を確かめるため、怖いけれど、そっと耳を傾ける。
そうすれば、絶対に霊体の声が聞こえるハズだから。
「………………」
だけど……。
わたしの耳には何も入って来なかった。
静かな静寂が広がっている……。
そして匂うのは、甘い香りだけ……。
この人と初対面なのに、父といる時よりもゆったりできているなんて……。
「あのっ!!」
わたしは腰を上げる男の人の二の腕をグイッと掴んだ。
『汚らわしい。触らないでくれる?』
その瞬間、聞こえてくるのは、過去に言われたことがある奏美(カナミ)さんたちの声だ。



