美狐はベッドの上で愛をささやく


「紗良? 大丈夫だよ。自分を責めなくても良い。もうほとんど傷口は塞がりかけているから……」


――――良い?


そんなことはない。

たとえ、傷が塞がりかけていたとしても……。

わたしがこの世界で生きている限り、良いことなんて何ひとつない。



「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」


やっぱり、わたしは紅さんの傍にいてはいけない。


わたしは紅さんから離れるため、胸板を押してベッドから抜け出ようと試みた。


それなのに、紅さんの腕は、わたしの背中に回っている。

放してくれない。


わたしが力を入れれば入れるほど、紅さんの腕に力が入る。




「やっ、放して!! お願い……」

消えるから……。


貴方の視界から姿を消すから……。




「放す? なぜ。やっとこの手に君の体温を感じることができたのに、なぜ放さなければならない?」