怖くないと言えば嘘になる。
だけど、わたしは自分のせいでたくさんの人たちが犠牲になることが耐えられなかった。
わたしは倉橋さんの前に自ら進み出て、肉体から魂を離別させる死を選んだ。
「倉橋さん、魂ならあげるから……。だから、もうやめて……!」
「さ……ら……なにを……」
そんなわたしの背後では、苦しそうな紅さんの掠れた声が聞こえた。
「ほう? 自ら『死』を選ぶか。よかろう、その命に免じて、この役立たずな妖孤どもを生かしてやろう。そして俺が杏子を失い、味わった苦しみや悲しみという孤独を思い知ればいい……」
……ううん、ならないよ。
紅さんは、倉橋さんみたいにわたしがこの世界からいなくなっても、倉橋さんとは同じようにはならない。
だって、だって……紅さんはとても綺麗だ。
わたし以上に愛せる人を見つけて、ずっと幸せに暮らせる。



